いさりば

癌治療に対する偏見があった。

私の弟が癌を患い、改めて当時の記事を読み返してみた。

記事は下記に転載しているのでお時間があれば是非御一読ください。

なお下線は私が気になった部分という意味です、あしからず

記事を読んだ私の感想を先に話します。

1.癌は痛んで苦しんで痛みに耐え苦しんで・・・と思いこんできた、また近しい親類のそんな姿を目の当たりにしてきた私、団塊世代にとって大きな誤解であることがわかった。
2.痛みを緩和するモルヒネを「モルヒネで死にたい」と思うのはとんでもない勘違いと知った。
3.私を筆頭にまだまだ誤解されて恐れている患者さん、身内が多いと思う、もしかすると医療従事者にも未だ緩和ケアへの理解が足りない方が居るいかもしれない。

是非これを機にみなさんに紹介してください。
私も弟にいの一番に印刷して持って行きました。

「兄貴もたまには気がきくんだね」と憎まれ口をたたいていました。

 

今井雅之さんの訃報報道に、医師が抱いた違和感とは 日経ウーマンオンライン(日経ウーマン) 6月16日(火)11時39分配信

今井雅之さんの訃報報道に、医師が抱いた違和感とは
日経ウーマンオンライン(日経ウーマン) 6月16日(火)11時39分配信今井雅之さんの訃報報道に、医師が抱いた違和感とは

俳優の今井雅之さんの訃報が流れて2週間あまり。心を痛めているファンの方も多いことと思います。一連の報道の中で、「誤解を招く可能性もあるのでは」と違和感を覚えた点がある、という医師の声がありました。永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長の廣橋猛さんが語る、そのポイントとは…。【詳細画像または表】俳優の今井雅之さんが54歳という若さで、大腸癌のため亡くなられました。自分自身大ファンだった個性派俳優の早過ぎる訃報が、残念でなりません。ところで、今井雅之さんの病気に関する一連の報道の中で、いくつか気になる点がありました。恐らく、緩和ケアや癌治療に関わる医療者の多くが違和感を覚えたのではないでしょうか。最初、腸のかぜと誤診されたという、大腸癌の診断に関わる経緯については、癌治療医が意見すべき点だと思うので、詳しくは述べません。ただ、初診時の対応としてはやむを得ない部分もあり、むしろ、癌検診の大切さなどを啓発してほしいなと感じました。それよりも、違和感を覚えたのは進行癌の苦痛についてです。今井さんは、大腸癌のステージ4で闘病していることを表明した記者会見で、「夜中にこんな痛みと闘うのはつらい」「モルヒネで殺してくれと言いました、安楽死ですね」といった趣旨の発言をされました。実際、この記者会見での今井さんは、かなり痩せ細り、いわゆる悪液質の状態であることが一目瞭然でした。病気が相当進行しているであろうこと、また病気に伴う苦痛症状も強いであろうことは容易に想像ができ、せめて適切な緩和ケアを受けられるよう祈っていました。

というのも、この発言にはいくつかの誤解を招きかねない要素が含まれていたからです。

まず、夜中に眠れないくらいの痛みが生じる状態というのは、適切な緩和ケアを受けられていないことが示唆されます。癌の痛みで眠れないというのは、全く疼痛緩和が図られていない状態であり、必要な鎮痛薬を使用されていないのではないかと感じました。

本来、医療用麻薬を含めた適切な鎮痛薬を用いることで、癌の痛みは確実に緩和されます。緩和ケアは癌治療中であっても必要であり、少なくとも夜に眠れないくらいの痛みを容認していたとすれば問題です。

報道の影響で、癌による痛みが緩和されないことは当たり前という認識が、世間に広まってしまうことを懸念しました。

「モルヒネを打って早く終わらせてほしい」とおっしゃられる患者さんは確かにいます。しかし、これは誤解です。モルヒネは命を縮める薬ではなく、苦痛を和らげる薬です。適切に使用することで、確実に苦痛を和らげ、生活の質を高めます。記者会見でのこの言葉が広まってしまうことで、モルヒネへの誤解が強まってしまわないかなと危惧しました。ぜひマスコミには、この発言は誤解である旨を解説してほしかったと思います。

癌の痛みに耐え抜いたことを称える論調はおかしい

そしてその後、訃報が報じられ、やはり適切な緩和ケアを受けられなかったのかなと感じました。報道では「モルヒネを使っても取れない痛みに耐えた」「苦しみながら壮絶死」といった言葉が並んだからです。

本来、末期癌で亡くなる間際の苦痛もまた、しっかりとした緩和ケアを受けることで確実に緩和されます。果たして、必要量のモルヒネ(医療用麻薬)を用いていたのか、仮に医療用麻薬だけで緩和困難な痛みだったとしても、鎮痛補助薬を用いていたのかと疑問に感じました。

また、医療用麻薬などでは取り切れない、終末期の耐え難い苦痛に対しては、鎮静という手段もあったはずです。しかし今回の報道では、癌終末期は強い苦痛に耐えるのが当たり前で、まるで苦しみに耐え抜いたことを称えるような論調のものが多く見受けられました。そして、適切な緩和ケアが受けられなかったのではないか、という報道はまるで皆無でした。

今井さんが強い痛みや苦痛に対する適切な緩和がなされずに、苦しんで亡くなられたのだとしたら、残念でなりません。いくつもの病院を渡り歩いたという報道もありましたので、継続的な緩和ケアを受けられる環境になかったのかもしれません。

そして、このような患者さんは、残念ながら多数いらっしゃいます。痛みは我慢するものと思い込んで、緩和ケア外来にいらっしゃる患者さんは後を絶ちません。そして痛みが楽になった後、これまで我慢していたのは何だったのだろうと喜んでくださいます

医療には残念ながら限界があり、どんな名医でも治せない病はあります。しかし、痛みは確実に緩和しなければなりません。それを怠るのは医師の怠慢であり、実力不足です。今回の一連の報道により、緩和ケアの啓発がまだ不十分であることを実感しました。自分のできることとして、様々な発信を通じて誤解を
解消し、1人でも多くの患者さんの苦痛が緩和されるよう啓発していきたいと思います。

(※「日経メディカルオンライン」の連載<廣橋猛の「二刀流の緩和ケア医」>より転載)

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